Mademoiselle Shinobu

渡邊しのぶのブログ
フランス語が下手でも楽しい!と思えた時期はとうの昔に過ぎ去ってしまった。 ある程度の会話力がないと自分の言いたいことが伝わらないのだ。高尚なレベルなど贅沢なことは言わない、簡単な会話さえ困難な自分に腹がたつ。生まれたばかりの赤ちゃんなら仕方ないと思えるが、私は大人だ。 「テキストには記入しないでね!学校を辞める時には必ず教科書は返却してちょうだい」と先生が言っていた事も知らずに、赤ペンでジャンジャン書き込みましたとも!学校も辞めてしばらく経ったある日、我が家に遊びに来た時クラスメイトが「シノブ、ドウシテ テキスト モッテルノサ?」と言い2人で大笑いした。 授業についていけない私は悔し過ぎて2回も先生の前で泣いた。泣きたくはなかったが、勝手に涙が溢れ出すのだ。それがキッカケだったのか、先生と友達になれたので怪我の功名だったのかもしれない  
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開け放した縦長い格子窓が風の勢いでかわりばんこにバタン、バタンと音をたてていた。無数の窓から吹き抜ける青嵐が頬を撫でる。 今日のパリのお天気は肌を焦がす程の快晴。鼻歌まじりで部屋の片付けをしていると、キッチンでカタカタと物音がした。風で揺れている窓ガラスの音とは違う。まだ会ったことのない大家さんは長いバカンスに出掛けており、二ヶ月間この家には私しかいない。はて不思議だなと頭をかしげ音のするほうへ向かった。   キッチンの手前にあるサロンまで差し掛かったところでいつもと部屋の様子が違うことに気が付いた。私の右足は固まり、これ以上前へ進めなくなった。見知らぬ茶色のポシェットがソファの背もたれに掛けてあったからだ。さっきまで何もなかったのに!開けたはずのないテラスの窓が全開になっており、誰かがキッチンにいる気配がした。 のそりとキッチンから出てきた男と目が合い、物凄い速さで私の心臓が激しく波打った。   だ、誰? 頭が猛スピードで回転し、いま自分が危険にさらされているか、どうするべきか等ありとあらゆる事を判断している。殆ど反射的に口をついて出た言葉は意外にも「こんにちは」だった。   出来る限り平静を装って様子を伺った。男はそんな私の心配をよそに、こう続けた「私は大家の息子です。今日はとても天気が良いからテラスで日光浴しようと思って来たんですよ」と。   パリに着いた初日、サロンの本棚に飾ってある家族写真を私は時々眺めていた。ふくよかで髭をはやした旦那様と品のある美しい奥様、その横に彼等の子供達が2、3人写っていた。同居する大家さんご夫妻は年配だと聞かされていたので、その写真は恐らく40年ほど昔のものだろう。彼らの娘さんが時折このアパルトマンに来てテラスの花に水をあげる、という事も事前に聞いていた。   しかし、息子の話は一寸たりとも出てこなかったので「僕は息子です」と挨拶されたところで信用できるはずがない。男に気付かれないようにチラリと横目で古ぼけた写真をもう一度確認した。写真に写っているあどけない少年が、いま私の目の前にいる男と同じ?一致しないじゃないか!   私はキッチンで洗い物をする振りをして包丁を手繰り寄せた。いざと言う時に反逆できるように。しかし、男はテラスの椅子に寝そべりラジオを聞き始めた。それでもまだ私は警戒心を解けなかった。念のため、男の名前を確認した。名はブルーノ。その場で大家さんに電話すれば良かったと後になって思ったが、場数を踏まないと正常な判断ができないものだ。   とにかく避難するしかないと判断した私は、彼への挨拶もそこそこに飛び出すように外へ出た。 幾週か時が経ち、大家さんに確認を取ってみたところ。ブルーノは正真正銘の息子だった!私の勘違いも甚だしいが、寿命が縮む経験はこりごりだ。
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              「好きだから」 という理由だけでヴィザを取ってパリへ戻ってきた。 人が何と言おうと私にとってはベストタイミング。37歳の私にしか経験出来ないものが今ここに存在するからそれで良い。 語学学校のオプションで参加した課外授業。売り子さんがお店の紹介をして試飲させてくれる。紅茶はフランスの文化ではないけれど素敵な香りが私を潤す。パリと紅茶、良いかもね。       2015年    
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「また戻ってくるからね」とロワシー空港で誓ったあの日からもう5年が経ってしまったけれど、パリに戻ってきた。2015年の蝉時雨。 学生ヴィザを胸に忍ばせスーツケース2つを必死で転がす。パリでは絶対に手に入らないであろう日本の自然栽培米と蔵付き天然菌のお味噌、お醤油が入っているので5年前よりスーツケースが重い。基本重量をはるかに超えた私のス荷物を運んでくれた人は、例外なく顔を真っ赤にしていた。40kgはあったかもしれない。お米と醤油なんてパリで買えばいいじゃない?と両親に言われたが、違うのそういう問題じゃないんだってば。 これからお世話になるお宅に無事到着し、ベッドで大の字になりながら独り言をつぶやいた。 パリよ、一年間どうぞ宜しゅうお願い申し上げます!          
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好奇心と冒険という宝物をぎゅうぎゅうにポケットへ詰めパリまでやって来た。 アパルトマンの窓から差し込む陽で目を覚まし、朝はきまってエスプレッソとバターをたっぷり塗ったトウモロコシクラッカー2枚を頂く。maman行きつけのマルシェで食料の買い出しをし、それから独りで美術館へ出掛ける。それ以外はこれといった特別な事は何もせず、机にかじりついてフランス語の勉強をしている。そんな私を不憫に思うのか、papaたちがドライブに連れ出してくれる事もある。 《折角のバカンスにする事はそれだけかい?》と周りは思うようだが、私にとっては居心地の良い時間なのだ。ただそれだけの毎日だけれど。 自分の心に従って正解だった。好きな空間に身を置くのがイチバン!            
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マリーアントワネットが生前住んでいたベルサイユ宮殿の別邸プチトリアノン。 ここにはベルサイユの眩いばかりの装飾や重苦しい威厳は何もない。彼女は好んでここを住まいとしていたようだ。 聖徳太子がかつて八角堂に籠っていたのと同じような気持ちなのだろうか。 旅の思い出に1枚絵を描いた。
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画家shinobuのブログ。 旅、私の作品、絵画教室についてあれこれ綴っています。 お時間許すかぎりお付き合い下さいませ✨✨ 以前のブログに加筆修正を加えたものです。

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